読書の記録『無趣味のすすめ』

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読書の記録


無趣味のすすめ

村上龍, , 2009-09-11, ***--

趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業の中にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。
目標は達成されるべきもので、語られるものではない。
全力で取り組む懸案の仕事を妥協なく終わらせたいという欲求はあるが、早くオフを楽しみたいなどとは思わない。「充実した仕事のためには心躍るオフの時間が必要だ」というのは、無能なビジネスマンをターゲットとして、コマーシャリズムが垂れ流し続ける嘘である。
繰り返すが、仕事は何としてもやり遂げ、成功させなければならないものだ。仕事に美学や品格を持ち込む人は、よほどの特権を持っているか、よほどのバカか、どちらかだ。
投資というのは、ある何かの、今の価値と将来の価値について考えを巡らし、自らの意思で資源を投入することであって、ブームに乗って高い手数料を取られたり、なけなしの元本をむしり取られたりすることではない。
ダメな文章を書く人は、文章が下手なのではなく、そもそも自分が何を伝えようとしているのか自分で理解できていない場合が多い。