読書の記録『ヴォイド・シェイパ』

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読書の記録


ヴォイド・シェイパ

森博嗣, , 2011-06-11, ***--

「誰も、自分の強さなど、わからない」
「戦いを避けるたびに、お前は強くなるだろう」
「よいか、ゼン、私とお前は違うのだ。見ればわかるだろう。躰が違う、頭も違う、同じではない。たとえ、まったく同じ人間だったとしても、立っている位置が違う。光も風も方角が違う。僅かの差で、先手と後手に分かれる。そのときそのとき、その場その場で、己の利を見よ」
いかに力を抜くか、そこに要がある。
剣術とは刀の使い方だけではない。刀を持つ者の行動のすべてである、と教えられた。否、行動だけではない。最も重要なことは、考え方である。
「人と人との関係は、その場その場で必ず釣り合っている。貸し借りというものはない。世話になったと感じていても、世話をした方も必ず満足して世話をしている。勝負でも同じこと。負けたと感じていても、勝った方も必ず同様に悔いている。だから、あとになって返そうなどと考えるものではない」