読書の記録『つぼやきのテリーヌ』

トップ > 読書 > 読書の記録『つぼやきのテリーヌ』

読書の記録


つぼやきのテリーヌ

森博嗣, , 2014-02-02, ****-

努力は必要なものだが、何を努力すれば良いか、という発想がそのまえにある。その発想の方が重要だ。
食料品が少し安くなると、「庶民にはありがたい」などと表現される。野菜が二十円安くなって、いったいどれだけの人間が喜んでいるだろう。たぶん、多くは気にもしていない。また逆に、安くなって困る庶民も、無視できない割合でいるだろう。
マスコミの報道というものは、今やほとんど宣伝行為になっている。
時代の価値観として、かつては、わからないのは自分の理解力が足りないからだ、といった分析が主流だったが、今は、わからないのは、わかるように作られていないのが悪い、と直結する思考が増えた。
人間は、一人一人違っている。海外の人とつき合うと、生まれが違い、育った環境が違うのだから、という目で見る。しかし、それはすぐ近くの人であっても、まったく同じなのだ。たまたま同じような言葉を使っているけれども、その言葉をどういう意味にとっているのかは、あなたと同じではない。