読書の記録『疲れすぎて眠れぬ夜のために』

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読書の記録


疲れすぎて眠れぬ夜のために

内田樹, , 2009-06-13, ***--

使命感や自負を持たない人たちはストレスに弱い。
「勝つ」ということは、「負けた」人間の嫉妬を引き受けることです。「成功する」ということは「成功できなかった」人間の邪眼にみつめられることです。
民主主義は「民主主義を信じるふりをする」人たちのクールなリアリズムによって支えられているものです。
「私はどんなふうに感じ、判断することを制度的に強いられているのか」、これを問うのが要するに「思考する」ということです。
どの芸道でも「守破離」ということが言われます。規則に従う段階、それを破る段階、そしてそれから離れる段階。
ぼくは村上春樹と橋本治と矢作俊彦と村上龍と高橋源一郎のものは新刊が出ると本屋に走って行って買いますけれど、みんなほんとうに律儀に「いつもと同じ」ことを書いているんですよね。だから大好きです。
節度というのは、平たく言えば、無用のリスクは回避する、ということです。(中略)自己裁量で使用できる資源(使える時間と発揮できる社会的能力)について、それを使う優先順位と匙加減をつねに意識している人のことです。
国民国家、人種概念、階級制度、一夫一婦制など、この先あまり長くは持たないと思いますが、まだこの後50年ぐらいは賞味期限が残っている。
法律的な縛りのせいで、愛し合っていないのに一緒にいなければいけないというのもきついですけれど、愛しか支えがないので、いつでも激しく愛し合っていなければならないというのも、けっこうきついんじゃないですかね。どちらにしても、1対1のパートナーシップは「ぱっとしない」というのが現在の基本的趨勢です。